「鯨」「恋煩い」「宮島」
- 2008.09.06 Saturday
- 10:34
「鯨」「恋煩い」「宮島」
・・・オマケに智奴さんから希望のあった「市民球場」も入れてみました。
三題噺『厳島姫物語』(仮題)
登場人物
厳島神社の女の神様 イチキヒメ
カップルの片われ ロミオ
・・・・・・・・・・
日本三景のひとつ安芸の宮島は島全体がご神体です。
現在では世界遺産にも登録されている、この厳島神社の神様は女の神様で、カップルでおまいりに行くとやきもちを焼いて恋が壊れてしまうとか・・・
最近は『男の神様をどこからか連れてきて一緒に祭ったのでもうカップルで行っても大丈夫』なんてはなしを聞いたことがありますが、ウソかマコトか・・・
この神様の名はイチキヒメ。
ある日人間に恋をした。大変な美貌の持ち主で今まで手に入らなかったものはなかった。自分からの恋の告白の仕方がよくわからない。
「ステキな殿方。おつきあいしてあげてもよくてよ。」
「いえ、私には彼女がいますから」
これまでヒメに逆らうものなどなかったので断られてなおいっそう燃え上がった。イチキヒメはその若者のことしか考えられない。完全に恋わずらい。
「ああ、ロミオさま、あなたはなぜロミオなの?」
「親が名づけてくれたからです」
「私のことはイチキとよんで」
「えっ?インチキですか?」
「何言ってるのよ。厳島って私の名前からつけたのよ。いつくしいとか言ってよ」
「いえ、私には彼女がいますから浮気はできません」
「ホンキでいいのよ」
「そんなこと言ったってまだあったばかりだし」
「恋は時間じゃないのよ。感じよ」
「え?カタカナとかひらかなとかいう、あの漢字?」
「ちがいます」
「じゃあ、宴会なんかしきる人?」
「それは幹事!
もー!ああ、なかなか気持ちが伝わらない。じれったいわ。これが恋わずらいというのかしら。何も喉を通らないくらい。
あなたのために歌を歌うわ。恋のうた。
♪恋というものは〜不思議なものなんだ〜♪」
「僕にはあなたの方が不思議です。」
「♪恋は恋でもお城の鯉は〜♪」
「それって魚の鯉じゃないか。しかもここはお城じゃなくて神社だし」
「♪カープカープカープ広島広島カープ♪」
「それも魚の鯉。まあ野球は好きだけど。」
「じゃあ、最初のデートは市民球場に行きましょうよ。今年で球場最後だし。」
「強引だな」
「ごういんぐマイウエイよ」
というわけで二人は市民球場につきました。
♪宮島さんの神主がおみくじ引いて申すには〜いつもカープは勝ち勝ち勝ち勝ち!♪かっとばせ〜!まえだ〜!
「あらしゃもじをたたいて応援してるわ。宮島のしゃもじを真似したのかしら」
「しゃもじは敵を召し取るっていうからね」
「私はあなたを召し取りたいわ」
「いや僕には彼女が・・・」
「まだ抵抗してるの。オームの法則をしらないの?」
「中学校で習ったよ。電圧イコール電流かける抵抗って」
「そうよ。抵抗が大きくなるほど余計に燃え上がるのよ。」
「なんだ、そりゃ!なんか違うような」
「ホントは相手に電流流して抵抗できないように気絶させておそうのよ」
「頼むから暴力はやめてくれよ。」
「田ぁ飲むとお百姓さんが困るから」
「頼むからオヤジギャグもやめてくれ!」
「じゃあ、なぞなぞを出すわ。間違えたら私とつきあってもらうわよ」
「正解したらあきらめてくれるかい?」
「どうしてそんなに彼女がいいの?」
「じゃあ聞くけど君は料理得意かい。」
「大丈夫よ。吉野やで出前とるから。」
「吉野家?」
「マクドナルドの方がよかった?100円のプレミアムコーヒーが人気って聞いたし。ごいっしょにポテトもいかが〜?」
「もういいよ!共通の趣味なんてあるかな?」
「切手集めが趣味よ」
「ペットは?」
「ペット集めはしてないわ」
「いや、そうじゃなくて飼ってる動物」
「うーんとね、鹿とサルを飼ってるわ。ねえ質問するのは私の方よ。
それでは問題です。
野菜チームとくだものチームが野球をしました。
9回裏、ツーアウト、ランナーなし。1対0で野菜チームがリードしています。バッターボックスはバナナ。ピッチャーキューリ。ふりかぶって第1球投げました。バナナ、初球打ちました〜!大きい大きい大きい大きい入った〜ホームラン!
で、くだものチームが逆転サヨナラ勝ちしたのよ。な〜ぜだ?」
「えっ?9回裏、ツーアウト、ランナーなしだろ。」
「そうよ、ランナーなし。」
「なんでホームランで逆転勝ちするんだよ」
「だってランナーなし」
「バナナがすべって皮と身にわかれた」
「なにくだらないこと言ってるのよ。わけわからない。」
「だってランナーなし・・・」
「ファイナルアンサー?」
「だってランナーなし、そんなバナナ」
「ブッブー!時間切れ!
正解はランナーになしがいたのでした。くだものチームだから。で、ホームランで2点はいって逆転勝ち。これでもうあなたは私のものよ。」
「だからランナーなしって。」
「ずるい!そんなに彼女がいいの?あんな女、何年かたつと年老いてばばあよ。私は何年たっても年とらないで美しいままでいられるわ。第一死ぬことがないもの」
「僕だって年取ればおじいさんだ。」
「あら、じゃあ人魚の肉を食べたらいいわ。不老不死になれるから」
「君を選べば不老不死の体を手に入れられるのか?」
「そうよ、じゃあ早速・・・
っていっても神様といえども人魚の肉なんてそう簡単に手に入れられるものじゃないわね。鯨の肉でごまかしてもわからないかしら。お父様のすさのおの尊に頼めばそのうちどこかから持ってきてくれると思うから・・・
はい、これ食べて!」
「これが人魚の肉かい?」
「そうよ」
「どうやって手にいれたんだ?」
「どこかの運送屋に不法侵入して持って帰ったもの見つけて横取りしてきたの。グリーンなんとかって書いてあったわ」
「それって、エコ・テロリストとかって言われてない?」
「私エロテロリストの方がいいわ。かも〜ん」
「ほげ〜」
「びっくりした。鯨だと気づかれたかと思った。捕鯨って。うまいわね。座布団1枚。」
「勝手に持って帰ったら泥棒なんじゃない」
「大丈夫よ。犯罪じゃないって言ってたから」
「そもそも人魚なんて食べてもいいのかい?」
「大丈夫、どんな環境保護団体も人魚を食べたらいけないなんて言ってるとこないし」
「環境団体ってシェパードなんとかってのもあったよね」
「それ千まさおの前の奥さん?
最初の奥さんがアマンダさんで、再婚した人がシェパードさん」
「よく知ってるね。」
「なんたって日本の初期から生きてるもの。日本書記にも名前のってるくらい。ちょっとした生き字引よ。」
「何歳の年の差なんだ?」
「いいじゃないの愛があれば年の差なんて」
「イヤ、愛ないし」
「愛がないって・・・じゃあ何よ。私はもてあそばれてるの?
サルにだって愛があるのよ。♪アイアイ、アイアイおサルさんだよ〜♪って」
「神様だからもっとかしこいと思っていたけど・・・」
「賢いわよ。神主さんもいつも『かしこみかしこみもまおす〜』ってやってくれるし。」
「なんだそれ」
「よく知らないけど手紙の謹んで申し上げるみたいな意味かしら。あら何包んでるの?」
「いや包んで申し上げる」
「意味違うわよ!つつしんで!包むんじゃないわよ。
手紙の『かしこ』ってのも同じ意味って聞いたことあるわよ。」
「へえ」
「ちょっとした豆知識でしょ。神主さんがいつも言ってるので『あらたまきよたま〜』ってのもあるわ。」
「なんだ、新しい卵、今日生まれた卵〜って意味かい?」
「洗い給え、清め給えよ。」
「パンツ洗いたまえ、のぞみ、かなえ、たまえ。
あっ、めだかの兄弟歌ってた3人組。」
「それ、わらべ!それに私パンツなんてはいてないし。」
「なんでだ。なんではかないんだ。」
「だって恋ははかないものよ。私の心はあなたに盗まれたのに、でものぞみは叶わないし・・・」
「盗まれた?
あ〜!そういえばこの間盗まれたってニュースでやってたの鯨の肉だった。もしかしてこれって鯨の肉じゃないのか?」
「あら、ばれちゃった?
まあそんなにめくじらたてないで。」
・・・オマケに智奴さんから希望のあった「市民球場」も入れてみました。
三題噺『厳島姫物語』(仮題)
登場人物
厳島神社の女の神様 イチキヒメ
カップルの片われ ロミオ
・・・・・・・・・・
日本三景のひとつ安芸の宮島は島全体がご神体です。
現在では世界遺産にも登録されている、この厳島神社の神様は女の神様で、カップルでおまいりに行くとやきもちを焼いて恋が壊れてしまうとか・・・
最近は『男の神様をどこからか連れてきて一緒に祭ったのでもうカップルで行っても大丈夫』なんてはなしを聞いたことがありますが、ウソかマコトか・・・
この神様の名はイチキヒメ。
ある日人間に恋をした。大変な美貌の持ち主で今まで手に入らなかったものはなかった。自分からの恋の告白の仕方がよくわからない。
「ステキな殿方。おつきあいしてあげてもよくてよ。」
「いえ、私には彼女がいますから」
これまでヒメに逆らうものなどなかったので断られてなおいっそう燃え上がった。イチキヒメはその若者のことしか考えられない。完全に恋わずらい。
「ああ、ロミオさま、あなたはなぜロミオなの?」
「親が名づけてくれたからです」
「私のことはイチキとよんで」
「えっ?インチキですか?」
「何言ってるのよ。厳島って私の名前からつけたのよ。いつくしいとか言ってよ」
「いえ、私には彼女がいますから浮気はできません」
「ホンキでいいのよ」
「そんなこと言ったってまだあったばかりだし」
「恋は時間じゃないのよ。感じよ」
「え?カタカナとかひらかなとかいう、あの漢字?」
「ちがいます」
「じゃあ、宴会なんかしきる人?」
「それは幹事!
もー!ああ、なかなか気持ちが伝わらない。じれったいわ。これが恋わずらいというのかしら。何も喉を通らないくらい。
あなたのために歌を歌うわ。恋のうた。
♪恋というものは〜不思議なものなんだ〜♪」
「僕にはあなたの方が不思議です。」
「♪恋は恋でもお城の鯉は〜♪」
「それって魚の鯉じゃないか。しかもここはお城じゃなくて神社だし」
「♪カープカープカープ広島広島カープ♪」
「それも魚の鯉。まあ野球は好きだけど。」
「じゃあ、最初のデートは市民球場に行きましょうよ。今年で球場最後だし。」
「強引だな」
「ごういんぐマイウエイよ」
というわけで二人は市民球場につきました。
♪宮島さんの神主がおみくじ引いて申すには〜いつもカープは勝ち勝ち勝ち勝ち!♪かっとばせ〜!まえだ〜!
「あらしゃもじをたたいて応援してるわ。宮島のしゃもじを真似したのかしら」
「しゃもじは敵を召し取るっていうからね」
「私はあなたを召し取りたいわ」
「いや僕には彼女が・・・」
「まだ抵抗してるの。オームの法則をしらないの?」
「中学校で習ったよ。電圧イコール電流かける抵抗って」
「そうよ。抵抗が大きくなるほど余計に燃え上がるのよ。」
「なんだ、そりゃ!なんか違うような」
「ホントは相手に電流流して抵抗できないように気絶させておそうのよ」
「頼むから暴力はやめてくれよ。」
「田ぁ飲むとお百姓さんが困るから」
「頼むからオヤジギャグもやめてくれ!」
「じゃあ、なぞなぞを出すわ。間違えたら私とつきあってもらうわよ」
「正解したらあきらめてくれるかい?」
「どうしてそんなに彼女がいいの?」
「じゃあ聞くけど君は料理得意かい。」
「大丈夫よ。吉野やで出前とるから。」
「吉野家?」
「マクドナルドの方がよかった?100円のプレミアムコーヒーが人気って聞いたし。ごいっしょにポテトもいかが〜?」
「もういいよ!共通の趣味なんてあるかな?」
「切手集めが趣味よ」
「ペットは?」
「ペット集めはしてないわ」
「いや、そうじゃなくて飼ってる動物」
「うーんとね、鹿とサルを飼ってるわ。ねえ質問するのは私の方よ。
それでは問題です。
野菜チームとくだものチームが野球をしました。
9回裏、ツーアウト、ランナーなし。1対0で野菜チームがリードしています。バッターボックスはバナナ。ピッチャーキューリ。ふりかぶって第1球投げました。バナナ、初球打ちました〜!大きい大きい大きい大きい入った〜ホームラン!
で、くだものチームが逆転サヨナラ勝ちしたのよ。な〜ぜだ?」
「えっ?9回裏、ツーアウト、ランナーなしだろ。」
「そうよ、ランナーなし。」
「なんでホームランで逆転勝ちするんだよ」
「だってランナーなし」
「バナナがすべって皮と身にわかれた」
「なにくだらないこと言ってるのよ。わけわからない。」
「だってランナーなし・・・」
「ファイナルアンサー?」
「だってランナーなし、そんなバナナ」
「ブッブー!時間切れ!
正解はランナーになしがいたのでした。くだものチームだから。で、ホームランで2点はいって逆転勝ち。これでもうあなたは私のものよ。」
「だからランナーなしって。」
「ずるい!そんなに彼女がいいの?あんな女、何年かたつと年老いてばばあよ。私は何年たっても年とらないで美しいままでいられるわ。第一死ぬことがないもの」
「僕だって年取ればおじいさんだ。」
「あら、じゃあ人魚の肉を食べたらいいわ。不老不死になれるから」
「君を選べば不老不死の体を手に入れられるのか?」
「そうよ、じゃあ早速・・・
っていっても神様といえども人魚の肉なんてそう簡単に手に入れられるものじゃないわね。鯨の肉でごまかしてもわからないかしら。お父様のすさのおの尊に頼めばそのうちどこかから持ってきてくれると思うから・・・
はい、これ食べて!」
「これが人魚の肉かい?」
「そうよ」
「どうやって手にいれたんだ?」
「どこかの運送屋に不法侵入して持って帰ったもの見つけて横取りしてきたの。グリーンなんとかって書いてあったわ」
「それって、エコ・テロリストとかって言われてない?」
「私エロテロリストの方がいいわ。かも〜ん」
「ほげ〜」
「びっくりした。鯨だと気づかれたかと思った。捕鯨って。うまいわね。座布団1枚。」
「勝手に持って帰ったら泥棒なんじゃない」
「大丈夫よ。犯罪じゃないって言ってたから」
「そもそも人魚なんて食べてもいいのかい?」
「大丈夫、どんな環境保護団体も人魚を食べたらいけないなんて言ってるとこないし」
「環境団体ってシェパードなんとかってのもあったよね」
「それ千まさおの前の奥さん?
最初の奥さんがアマンダさんで、再婚した人がシェパードさん」
「よく知ってるね。」
「なんたって日本の初期から生きてるもの。日本書記にも名前のってるくらい。ちょっとした生き字引よ。」
「何歳の年の差なんだ?」
「いいじゃないの愛があれば年の差なんて」
「イヤ、愛ないし」
「愛がないって・・・じゃあ何よ。私はもてあそばれてるの?
サルにだって愛があるのよ。♪アイアイ、アイアイおサルさんだよ〜♪って」
「神様だからもっとかしこいと思っていたけど・・・」
「賢いわよ。神主さんもいつも『かしこみかしこみもまおす〜』ってやってくれるし。」
「なんだそれ」
「よく知らないけど手紙の謹んで申し上げるみたいな意味かしら。あら何包んでるの?」
「いや包んで申し上げる」
「意味違うわよ!つつしんで!包むんじゃないわよ。
手紙の『かしこ』ってのも同じ意味って聞いたことあるわよ。」
「へえ」
「ちょっとした豆知識でしょ。神主さんがいつも言ってるので『あらたまきよたま〜』ってのもあるわ。」
「なんだ、新しい卵、今日生まれた卵〜って意味かい?」
「洗い給え、清め給えよ。」
「パンツ洗いたまえ、のぞみ、かなえ、たまえ。
あっ、めだかの兄弟歌ってた3人組。」
「それ、わらべ!それに私パンツなんてはいてないし。」
「なんでだ。なんではかないんだ。」
「だって恋ははかないものよ。私の心はあなたに盗まれたのに、でものぞみは叶わないし・・・」
「盗まれた?
あ〜!そういえばこの間盗まれたってニュースでやってたの鯨の肉だった。もしかしてこれって鯨の肉じゃないのか?」
「あら、ばれちゃった?
まあそんなにめくじらたてないで。」